熊野古道トレイルランニングレース2024
レースに出走してから3ヶ月が経ってしまいました。
スタッフ浜田、昨年に行われた熊野古道トレイルランニングレース2024 ロングカテゴリー(51.7km)に出走してきまして、
この時、自身ほぼ1年ぶりのレースとなり、また学ぶべきことが多くありましたのでここに備忘録として記しておこうと思います。これからトレランのレースに挑戦しようと思っている方や、ミドルディスタンスに挑戦しようと考えている方にとって何か参考になることがあれば幸いです。
前回走ったレースが2023年の「伊賀忍者トレイル ロング(48km)」←これも足攣りまくりで走力の無さを痛感したレースでした。この年も、熊野ロングか忍者ロングかと迷っていたところ、熊野の日程がスケジュールが合わず忍者トレイルに出走しました。
伊賀忍者トレイルは、「山をググッと登ってガーっと下って、ロードを走る」というコースで、累積獲得標高はそんなにないのですが、非常に足にくる高速レースです。ロードの走力が弱い自分としては苦手なことにチャレンジするという意味合いが強いレースでした。途中、かなりつらい時もありましたが想定タイム内で完走できて非常に楽しく走れたのでした。
そして2024年、3年前のミドル出走から1年空けて熊野古道ロングに出走。
こちらのレースの公表コースデータですが、距離約50km / 累積獲得標高約3000m(実際は距離54.4km、累積獲得標高2767mでした)となっておりまして、
数字だけ見るとこの距離に対しての累積獲得標高は普通(?)かなと思うわけですが、実走してみて感じたのは「数字だけでは測れない濃厚な内容」で、やっぱりこの距離のレースはなめてかかっちゃだめだな(当たり前)と改めて再確認した次第です。。
結果から申しますと、
・自分で設定した目標タイムから大きく遅れる
・初めてレース中にハンガーノック(低血糖)になる
・練習を含め出走前の準備不足
が、今回の反省点+学びとなりました。もう少し自分のコンディションを理解して走るべきだった。
今まで走った同じボリュームのレースは、「比叡山INT(50k)」と昨年の「忍者トレイル(48k)」の2本。どちらのレースも当時の練習量的に、大体自分で設定した想定タイム内で完走。
前者の比叡山のレースが距離51.4km、累積獲得標高3436m。数字だけ見ると熊野古道のレースよりもハードなレースも完走してるし、2022年に熊野のレースもミドルコースを走ってて、「コース半分知ってるし、大丈夫だろう。」というちょっと安易な考えでエントリーしたのです。
しかし、実際に走ってみてそんな奢った気持ちは見事に打ち砕かれる。
頭では分かっていたが、このロングコースはやはり前半30kmを走ってからがキツイ。
前半30kmのミドルコース部分は累積獲得標高が約1300m。あまりキツイ勾配箇所が無く「頑張れば走れないところはほとんどない」くらい走りやすいコースです。
つまり、前半で走らされてから後半20kmで約1400m標高を稼がなければならない。そしてそのコースサーフェイスが想像以上にハード。
覚悟しているつもりでいたけど、練習不足の自負もあった体はその強度に耐えられず。さらに1年ぶりのレースで感覚が鈍っていたのもありオーバーペースによるハンガーノックで撃沈。いろいろとミスの多いレース運びとなりました。
なにをどこで失敗したのか。また同じ轍を踏まぬように振り返りながら書いていきます。
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レース当日の朝。AM3:00に伊勢を出発。
一緒に出走する友人の車に乗せてもらい現地に向かいます。
ロングカテゴリーは朝6時にスタート。本来前日エントリーのみとなるのですが仕事の都合もあり、前日に現地入りしていた友人に代理エントリーをしてもらい当日ゼッケンをもらう算段。
朝ごはんに自宅から持参したおにぎり2つを道中に食べるわけですが栄養補給のタイミングとして走り出す1時間~30分前くらいに食べる予定をしていたけど、いつもと違う時間に起きた体はリズムが崩れて変な時間にお腹が空いたため分割して食べることに。3時半ごろに1つ。4時過ぎくらいに1つ。そして現地に着く前にコンビニで購入した菓子パンを30分くらい前に食べるはずでした。
しかしなにを思ったか、走る車の中で足にテーピングを施しはじめたところ、激しい車酔いになり現地についたタイミングでかなりグロッキーになってしまい、食べようと思っていた菓子パンが食べられず。胃薬をのんで、スタート直前になんとか車酔いから解放され、ゲートに並ぶ。
あくまで個人的な分析ですが、出走前にちゃんと食事を取れなかったことがパフォーマンス低下(ハンガーノック)の一番大きな原因になったのではないかと考えています。食べたものはすぐにエネルギーに変換されることはなく、固形物の場合食べてから少なくとも2時間ほどしてからエネルギーにかわっていくそうで、つまりレース出走前の摂取エネルギーが足りなかった場合、走っている最中に補給食でエネルギーを補給しても、運動強度が高いと「エネルギー変換<エネルギー消費」となり、枯渇してしまったのではないかと思います。
(反省点)走る前の栄養補給からレースは始まっているという事ですね。レース直前(何なら前日の夜から)の食事は計画的に的確に摂取することを意識したいと思います。
それと今後、車の中でテーピングをするのはやめようと固く誓いました。(少し考えたらわかりそうなものですが)
かといって朝早いレースでは時間に余裕を持つというのも難しいので行動予定をある程度計画的に行わなければならないなと。ニューハレのテープなら剥がれないように気を付ければ前日寝る前に張っても問題ないし、会場についてからも十分テーピングをする時間はありました。焦りは禁物ですね。
そんなこんなでレーススタート。自分の完走想定タイムは、前半ミドルパートを4時間、疲労を考慮して後半の山岳パートを4時間半で合計「8時間半」といった具合。ちゃんとペースを守れば必ず走れるタイムのつもりでした。
走っている最中、以前にミドルコースを走った時よりペースを落としつつ前半で使いすぎないよう余力を残して走る。朝食が十分に取れていなかったこともあるので早め早めの補給を心掛ける。(ちなみに僕の補給ペースは「大体1時間にジェル1本。その間になるべく食べれるタイミングで固形物を少しでも食べる」といったざっくりした感じです。今回レース中にハンガーノックになったのでこの補給の仕方も改善と工夫が必要だと感じました。)
しかしながら知らず知らずのうちにペースが上がっていたみたいでミドルパートを走り終えたところで時計をみると、経過時間「3時間45分」想定より15分も早くスタートの会場まで戻ってこれた!
この時に自分の想定タイムを守り「オーバーペースだからペースを抑えよう」と判断するべきだったのですが…
「抑えた割によく走れている!思ったより体が疲れてない!」と思ってしまったため「これは8時間でイケるんじゃないか?」という欲がでてしまったのです。
そして気持ちが高ぶったまま後半パートに突入していく。
スタート会場を過ぎてからしばらくフラット~薄登りのロードを走っていく。走れる勾配がジワジワと足を削っていく。そのままゆるい勾配を走り続け林道を進み、このレースの最もハードなポイント「一族山」の入口へ。
「ついに来たか」と意気込み、ワイルドな足元に急勾配の直登を登っていく。1.5kmくらいで450mくらいあがってるのかな?壁です。
ほぼ誰もいないのに「ここで足を止めてはならない」と変な頑張りを見せて、何とか止まらずに登り切りましたが、この辺から足の攣りが強くなってきました。そのあとの下りを何とかごまかしながら走っていき次の「布引の滝エイド」へ。
この時すでに体はかなり疲れていたのですが、時計を見ながら頭の中は「8時間切りたい」に支配されていて自分のコンディションに耳を傾けるのが遅くなってしまった。エイドで名物のめはり寿司を頬張り、レッドブルを飲み、元気になったつもりで林道を登っていく。
子の林道の途中で知り合いのランナーさんを見つけて会話しながら歩く。しかしながらこの方が超長距離も走られる猛者の方で、その時はあまり考えてなかったけど、自分にとってはこれもオーバーペースだったのでしょう。その方はトレイルに入ったら先へと消えていきました。
後を追いかけるように頑張って進むが、思ったように体が動かない。足が攣るのはいつものことだが、この日ははなんだか口と腕が痺れる。「脱水かな?」と思ったけどあと10km程度のことだから水分をちゃんと取っていれば大丈夫だろう。この後はもうそんなに勾配もないし、トレイルも下り基調になってくる。そんなことを思いながら40kmを過ぎたあたり、振り絞って地蔵峠を乗越た後のちょっとした登りの途中で足をぐっと持ち上げた瞬間に視界が一瞬真っ白になる。
「あちゃー」と思った時にはすでに遅かった。これはただの脱水じゃない。
以前にも補給をあまり持たずに少し長いトレイルに行った際になったあの感覚と一緒だ。「ハンガーノック」です。
体に力が入らず、上体の痺れが強くなり、体が冷える。
(反省点)ハンガーノックはエネルギー不足による低血糖状態を指し、体の燃料切れの状態を意味します。これになる前に体から色々なサインが出ているはず。自分の身体に耳を傾けエラーが出ていないか、自分の体力に見合った運動強度で走れているかなど、時計のデータや食べた補給食の量を確認することを忘れないように。
疲労とは別の倦怠感はないか?集中力の著しい低下を感じないか?吐き気や手足のしびれなどはないか?そもそもオーバーペースになっていないか?一度ハンガーノックになってしまうと回復するまで思うように走れなくなります。それまで良いペースで走れていても完全に停止してしまうと結果的にタイムは大幅に遅れます。そうならないように注意しましょう。
とはいってもレースでは普段以上の力が出てしまうし、ギリギリのところを行かなければ目標を超えることはできないので仕方ないところではありますが、要はどれだけちゃんと練習したかということだと思います。自分の体力を見誤った結果ですね。
すぐに腰を下ろそうかと思ったけど細いトレイルだったため他のランナーさんの邪魔になってはいけないと思って、登った先の誘導ボランティアの方がいるちょっと広い場所までなんとか歩いていき、木の根のもとに腰を下ろす。「やってしまったー」と思いながらとりあえず補給食を口に入れてじっとする。体が冷えるからウィンドシェルを上から重ねる。
その間に他のランナーさんにどんどん追い越されていきます。これで目標タイムでの完走はもう無理だなーとちょっと落ち込みましたが、目の前を走っていくランナーさんの何人かが「大丈夫ですか?」とか「ジェルもってますか?」とか声をかけてくれて、その優しさに少し元気を取り戻し「完走にはまだ全然間に合うしできるだけ頑張ろう」と腰を上げ、本来なら気持ちよく走れる下りのスイッチバックをふらふらと歩いていく。足の攣りがひどくなったらジェルを入れて、少しずつ少しずつ歩を進める。
そうして何とか最終エイドの矢ノ川エイドにたどり着く。ベンチに腰を下ろしてエイドにある食べ物と暖かい飲み物を食べれる範囲で口に押し込む。日差しが暖かく、前のエイドで食べたものが少しエネルギーに変換されてきたのか体の冷えが収まり少し体が軽くなってきた。
脚の攣りもかなり収まり「これなら走れる」と丸山千枚田への下りを足が攣らないように慎重に走っていく。下り切ったところからの登りは無理せずに小股で登っていき、フラットな林道へ入っていく。ここらはもうキツイ勾配などはなくゴールまでずっと走れる道。時計の距離を見ると「走行距離48km」あと3kmだ。
止まったら足が攣りそうなので「ゴールまで走り切るぞ!」としっかり腕を振ってできる限りのペースで走る。
時計の音が鳴り「49km」
もう少しだ。がんばれ俺の足。
また時計の音が鳴る。「51km」
なんだか様子がおかしい。どう考えてもゴールまでまだ距離がある気がする。
林道をぬけてロードに出る。この時すでに「52km」
「おぉぉぉーーーーい!」
確かにポスターにはロング51.7kmと書かれていた。細かく1.7まで。
もうここまで来たら歩くという選択肢はない。ふとももの大部分が攣っていたけど腕の振りでなんとか足を前に出す走りで最後のロードを振り絞って走りました。
トレランレースあるあるですが、実際の距離は公表されている距離より長いことが多いです。
ゴールテープをくぐって時計を見ると「距離54.42km」でした。メンタル鍛えられました。
結果、タイムは8時間54分28秒と元々目標としていた8時間半から大きく遅れましたが、苦しんだ分ゴールした時の感動は大きく、先に走り終えた友人たちが迎えてくれたこともありゴール出来たことに少しウルっとしてしまいました。
(反省点)レースで実力以上の結果は残せません。運動強度的に無理ができるのは積み重ねた普段の練習があってこそです。目標を掲げるならそれに見合った練習を。(当たりまえ)
以前に走った「比叡山50km」の時なんかはレースを想定した距離、累積獲得標高、行動時間などを意識した練習を自分なりに一生懸命取り組んでいました。人それぞれライフスタイルも違いうし、なかなか練習時間を作るのも大変ですが、レースにエントリーして目標を持つならそれに向けて自分なりのベストを尽くすべきだなと改めて痛感。
レースの楽しみ方は人それぞれだし、入賞を狙うとかのレベルになるとまた別の次元の話になってきますが、レースに出走するならできる範囲でベストを尽くした方が僕は楽しい。きっとがんばった分の結果と感動があるから。
今回の結果はやっぱり悔しいので、来年も熊野古道トレイルラン50kに出走して一瞬見えた気がした「8時間」を目標に今年1年また頑張りたいと思います!という事で一緒に出走してくれる人随時募集。
最後に、大会運営・ボランティアスタッフの皆様、レースに関わったすべての方にお礼申し上げます。
沢山の方のおかげで僕たちはレースを楽しめているという感謝を気持ちを忘れずにこれからも走り続けたいと思います。
スタッフ浜田